第21話「不況」 |
とんとん…「艦長、起きてらっしゃいますか!艦長!!」 ヤマト艦長室前で、今日もひとりの剃りこみ男が叫んでいた。 ヤマト艦長沖田は、仕方なく、ベッドから起き上がり、リモコンでテレビを消した。「技師長め、わしがエッチなビデオをみとるときにノックしやがって」と、沖田は苦々しく思いつつ、衣服を整え、「どうぞ」といった。真田技師長は、相変わらずハイテンションで部屋に入りこんできた。「真田工場長、入ります!」無用にきびきびしている。また、変なくすりを発明してハイになっているのだろう。 「どうしたのかね、真田君…」 沖田は、聞いてやる。すると、真田は目をらんらんと輝かせていうのだった。 「艦長もご存知のように、現在、地球は(というか日本は)未曾有の大不況にあえいでいます。特に、中小企業の社長さんたちは、お金がなくて困っているとか」 「それで?」 「そこで、『こんなこともあろうと』一刻も早くこの状況を打開すべく、開発したのが、こいつです!」 真田は、23世紀なのに、青焼きの丸めた図面を艦長室のテーブルに広げるのだった。ぷーんと青焼きの匂いがした。沖田は、この匂いをかぐのはアステロイドシップ計画以来何度目だろう、と述懐した。そして、 「これは?」と聞いた。 真田は、風呂敷の中から鳥かご大のあやしげな機械を取り出した。 そして、目を閉じながら、自信ありげに答えた。 「瞬間経済再生装置、です。これはさっき、トイレで大をしたときに使用したトイレットペーパーですが、こいつをこの瞬間経済再生装置にいれると…」 真田が、ちょっと茶ばんだトイレットペーパーをいれると、機械からはなんと「新札」が!! 沖田は、ちょっとびっくりしたが、やがて、冷静に真田に告げるのだった。 「これは偽札製造機ではないのかね…」 真田は「はっ!!私としたことが!!どうして、もっと早く気付かなかったんだ!!」と、相変わらず、ハイテンションで頭を抱えて叫びながら、艦長室を去っていくのだった。 取り残された「瞬間経済再生装置」を沖田はじっとみつめた。そして、ごみ箱のメモ用紙でちょっと遊んでみるのだった。 イスカンダルは、まだ、遠い。(おわり) |
長田亀吉
2001年07月20日(金) 19時55分23秒 公開 ■この作品の著作権は長田亀吉さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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これは多分、読み落としてました。これおもしろいです、いけてます! | RIKO | ■2002年03月09日(土) 10時45分55秒 |
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