第38話「捕虜」
 とんとん…「艦長、起きてらっしゃいますか!艦長!!」
 ヤマト艦長室前で、今日もひとりの剃りこみ男が叫んでいた。
 ヤマト艦長沖田は、仕方なく、ベッドから起き上がり、リモコンでテレビを消した。
「技師長め、いつも、わしがエッチなビデオをみとるときにノックしやがって」と、沖田は苦々しく思いつつ、衣服を整え、「どうぞ」といった。真田技師長は、相変わらずハイテンションで部屋に入りこんできた。「真田工場長、入ります!!」無用にきびきびしている。また、変なくすりを発明してハイになっているのだろう。
「どうしたのかね、真田君…」
 沖田は、聞いてやる。すると、真田は目をらんらんと輝かせていうのだった。
「艦長、例のガミラス兵の捕虜ですが、なかなか口を割りません。古代がキレて、襲いかかってからは従 順にはなりましたが、未だ機密事項に付いては何らしゃべっておりません」
「それで?」
「そこで、『こんなこともあろうと』一刻も早くこの状況を打開すべく、開発したのが、こいつです!」> 真田は、23世紀なのに、青焼きの丸めた図面を艦長室のテーブルに広げるのだった。ぷーんと青焼きの匂いがした。沖田は、この匂いをかぐのはアステロイドシップ計画以来何度目だろう、と思った。
「これは?」と聞いた。真田は、風呂敷の中から鳥かご大のあやしげな機械を取り出した。
 そして、目を閉じながら、自信ありげに答えた。
「瞬間精神判定機です。質問をして、すべてに対して、『いいえ』と答えさせます。ウソをついた場合、 精神の特有の揺れを察知して、ブザーがなります。」
「例えば…艦長、少し試してみましょう。申し上げたように『いいえ』で答えてください」
「うむ、わかった」
「じゃ、はじめますよ。艦長は、私を信頼されてますね」
「いいえ」

 音はしなかった。二人の間に気まずい空気が流れた。
 真田は「私としたことが…どうして気付かなかったんだ」と嘆きつつ、艦長室を後にした。
 沖田は、取り残された「瞬間精神判定機」を見つめた。
 だが、これで、遊ぶにはもうひとり必要だと分かった。
 イスカンダルは、まだ、遠い。(おわり)
長田亀吉
2001年07月20日(金) 20時00分43秒 公開
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■作者からのメッセージ
うーん、もうひと押し。と、いいますか、ネタの選択が甘いんですかね。

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いえ、これは結構名作ですよ!読み込むとおもしろいです! RIKO ■2002年03月09日(土) 20時32分00秒
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