第17話:帝国の女王 |
とんとん…「艦長、起きてらっしゃいますか!艦長!!」 ヤマト艦長室前で、今日もひとりの剃りこみ男が叫んでいた。 ヤマト艦長沖田は、仕方なく、ベッドから起き上がり、リモコンでテレビを消した。 「技師長め、わしがエッチなビデオをみとるときにノックしやがって」 と、沖田は苦々しく思いつつ、衣服を整え、「どうぞ」といった。 真田技師長は、相変わらずハイテンションで部屋に入りこんできた。 「真田工場長、入ります!」無用にきびきびしている。また、変なくすりを発明してハイになっているのだろう。 「どうしたのかね、真田君…」 沖田は、聞いてやる。すると、真田は目をらんらんと輝かせていうのだった。 「艦長もご存知のように、我々の前にはガミラスがしつこく立ち向かって来ております。しかし、我々の使命はイスカンダルに行き、放射能除去装置を入手することであって、ガミラスと戦うことではありません」 「それは、わしもわかっておる、それで?」 「そこで、『こんなこともあろうと』一刻も早くこの状況を打開すべく、開発したのが、こいつです!」 真田は、23世紀なのに、青焼きの丸めた図面を艦長室のテーブルに広げるのだった。ぷーんと青焼きの匂いがした。沖田は、この匂いをかぐのはアステロイドシップ計画以来何度目だろう、と述懐した。 そして、「これは?」と聞いた。 真田は、さらに風呂敷の中からミニバイクの様な模型を取り出した。 そして、目を閉じながら、自信ありげに答えた。 「モトラッド・ヤマト艦のイメージモデルです。このモトラッド・ヤマトは前後にタイヤを装備しており、地上を走行することが可能です。この異様な姿を見たガミラスは恐れをなし、戦わずして降伏するでありましょう」 真田が、艦長席のパソコンを操作すると、走行中のモトラッドヤマトのプロモーション映像が流れるではないか! 「戦わずして降伏させることができるとは心強い。無用の流血を避けることができるであろうな」 しかし、沖田は、やがて、冷静に真田に告げるのだった。 「だが、このモトラッド艦を敵が恐れてくれるのは、地上を走っているときだけだ。宇宙空間ではどうだろうか?」 真田は「はっ!!私としたことが!!どうして、もっと早く気付かなかったんだ!!」と、相変わらず、ハイテンションで頭を抱えて叫びながら、艦長室を去っていくのだった。 取り残された「モトラッドヤマト」を沖田はじっとみつめた。そして、模型を押してみると、タイヤが回り、主砲なども動くではないか。 「これは遊べそうだな」 イスカンダルは、まだ、遠い。(おわり) P.S.Vガンダム17話を思い出してね。 |
yoppy
2001年07月20日(金) 20時06分28秒 公開 ■この作品の著作権はyoppyさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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