二重惑星判別法
 とんとん…「艦長、起きてらっしゃいますか!艦長!!」
 ヤマト艦長室前で、今日もひとりの剃りこみ男が叫んでいた。
 ヤマト艦長沖田は、仕方なく、ベッドから起き上がり、リモコンでテレビを消した。
 「技師長め、いつも、わしがエッチなビデオをみとるときにノックしやがって」と、沖田は苦々しく思いつつ、衣服を整え、「どうぞ」といった。真田技師長は、相変わらずハイテンションで部屋に入りこんできた。「真田工場長、入ります!!」無用にきびきびしている。また、変なくすりを発明してハイになっているのだろう。
 「どうしたのかね、真田君…」
 沖田は、聞いてやる。すると、真田は目をらんらんと輝かせていうのだった。
 「艦長、我々は二重惑星を前にしてどちらがガミラスかイスカンダルか分からず非常に不安な状況です」
 「それで?」
 「ここでは狭すぎるので、右舷大展望室に行きましょう」
 真田は、目をきらーんと光らせて沖田を誘った。
 沖田は「パターンが違うぞ」と段取りが狂ったことに、コメディアンとしてかなり焦りを感じながら、艦内通路を歩いた…。

 やがて、二人は展望室に。二人だけがそこに居る。
 真田はなぜか、沖田から、10メートルくらい離れて位置していた。
 沖田は尋ねる。
 「では、教えてもらおうか。どうやって、二重惑星を見分ける?」

 真田は、風呂敷の中から一個のボールを取り出した。
 
 そして、目を閉じながら、自信ありげに答えた。
 「二重惑星判別用訓練機です。これを…」
 真田は、ボールを右手の親指と人差し指に挟むと、沖田に向けて差し出し、苦悶の表情でそれを挟んだ指の間で押しつぶそうとする。
 そして、そのボールがぐにゃりとつぶれるや否や、ボールを沖田に向けて投げつけた。
 するとどうだろう!
 沖田にはボールがいくつにも分かれて見えるではないか!
 沖田は、手にしていた杖を、ぶんと振った。
 沖田は空振りした。

 真田は満足げだ。
 沖田は悔しい。

 真田は語る。
 「この球を島に投げて攻略させれば、本当の球、つまり、イスカンダルを見極められるはずです!」

 「ちょっと違うぞ」と沖田は思った。
 しかし、空振りした悔しさが、彼を勝負に駆立てた。

 「もう一球投げてみたまえ、真田君!」

 沖田と真田は、体力の限界に挑むように、投げ、スイングした。
 
 へとへとになりながら、午前3時を過ぎた頃、真田はついに云った。
「艦長、そろそろツッコミいれてください(汗)」

 沖田は微笑した。
 そのまま、彼は倒れて寝てしまった。

 真田の心には、どこかやりきれない、寂しさが募った。
 「そうか…このネタは古代しか!古代にしか出来ないネタだったんだ!!どうしてもっと早く気付かなかったんだーーーーー!!」

 真田は頭を抱えながら展望室を出て行った。

 イスカンダルは、まだ、遠い。(おわり)
長田亀吉
2002年03月03日(日) 00時27分12秒 公開
■この作品の著作権は長田亀吉さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
侍ジャイアンツ知らないとなんのことやらわかりませんね(汗)もう少し一般的なネタにしないといけないなあ。反省。

この作品の感想をお寄せください。
皆さん、ありがとうございます^^;このシリーズはもう一個ベタなネタで入れるかもしれませんが生暖かく見守っていただければ幸いです(笑) 長田亀吉 ■2002年03月04日(月) 21時56分12秒
艦長と真田さんって、いいコンビですねえ。本編であんまり絡まなかった二人だけに、楽しいです。ところで、空間磁力メッキの変わりに、ミラクルボールでデスラー砲に対抗!とかいう案もこっそり用意してたのでは…。 じゅう ■2002年03月04日(月) 09時52分01秒
うーん、古代進がいれば打てたかも!(富山声で・・・笑) RIKO ■2002年03月04日(月) 09時46分12秒
目を閉じて、心を落ち着け、意識を集中すれば、おのずと球は見えてくる。精神統一だ、艦長!あ…、目を瞑っていちゃ、見えないか。侍ジャイアンツ、見てました、昔。当時としてはとんでもなく下品な主題歌がたまらなかった! Alice ■2002年03月03日(日) 16時09分53秒
侍ジャイアンツ!実は密かにはまってます(笑)あの豪快さがたまりません。しかしコメディアンって、艦長・・・(^^;) たぬ子 ■2002年03月03日(日) 02時01分10秒
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ
戻る
[ 感想記事削除 ]
PASSWORD