第800話「航海班宴会」
「今晩は...」
「お、航海長じゃないか。この前は大騒ぎだったね。今日は仲間づれかい?」
「ええ、たまには航海班どうしで飲もうと思って...」
「今晩は」「ちわす」
島の後ろから、太田と雷電が顔を出した。

「太田、久しぶりだな。雷電君はここははじめてだっけ?ま、とにかく座って」
「それじゃ、まずこれから」といって山崎が出したのは、もずくの酢の物だった。

「うーんと、まず、海草サラダ。それと、グリンピース、かな。お前達は?」
「かっぱ巻、二人前!いや、三人前!」
「ビーマンの挽肉詰め、いいすか?」
「後、野菜スープね」

みな若い。特に太田と雷電はヤマトでも指折りの大食いである。
出された料理はあっというまに平らげられていく。
太田は勿論、食べる事にかけては遠慮などする男ではない。
「次、ねぎ焼き!それと、サラダセット、四人前!いや、五人前!」

最初は大人しくしていた雷電も、気分が出てきたのか大声を出すようになった。
「次、枝豆!」
「枝豆は、ちょっと待ってくれないかな、最後にいいものだすからさ」
「いいもの?」
「そ」
「ふうん、じゃあ、ホウレン草のソテー」

だいぶアルコールが廻ってきたらしい
「か、からい〜」
「お前、それ、わさびだって!」
「こいつ、青汁でも飲ませたろか?」

二時間程して、大分できあがったらしい三人はそろそろ締めに入ろうとしていた。
「そろそろ上がりますかあ?」
太田の声も語尾が少しあやしくなっているらしい。
「じゃ、さっき言ったとっておきのやつ。甘い物だけどね」
「抹茶アイス?冷たいのは、ちょっと」
いやいや、と言って、山崎がだしてきたのは...
「なんだい、この餅?」
「ずんだ餅といってね、枝豆をすり潰して作った餡を餅にまぶしたものだよ」
「ふうん...綺麗な、色、してるなあ...」
だいぶ酔いの廻ったらしい島は、出されたずんだ餅をいきなりぱくっとくわえると一気に飲み込もうとしたが...
「うぐぐ...むむむ...」
少し大きすぎたらしい。

「島、おまえもか!」
「島さん、大丈夫ですか!」
「航海長!よし、ボディーガーの俺が病院までおぶって行きます!」
「それより先に、餅を出さなきゃならん。箸、箸、箸...いや、だれか掃除機持って来い!」
餅を喉に詰まらせた島を囲んで、三人は大慌てである。

...やっぱり、落ちは餅!?でした...
もーりっつ
2001年07月20日(金) 19時45分17秒 公開
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文庫より。もーりっつ師匠の記念すべき作品。(コメントBY長田)

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