苦境
作者: 戦舟   2011年12月18日(日) 05時20分30秒公開   ID:T2SlLVuuolI
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ヤッタランの報告には焦燥感がありありと感じられる。この距離で打ち抜けないシールドの存在が、俄には信じられない様子だ。
ハーロック達の危機は、エメラルダスにもすぐに理解出来ていた。あれだけのパルサーカノンが無力化されてしまうとは、恐るべき防御力だ。だが、今の彼女には成す術が無かった。宇宙最強の一隻と謳われるクイーン・エメラルダス号≠ニはいえ、今は多数の敵戦艦と砲火を交えている最中なのだ。とても援護に回る余裕は無かった。いや、それが可能だとしても、あの巨大要塞に有効な攻撃を行えるのか。エメラルダスの心は苦い思いで満たされていた。そう、あのヤマト≠フ攻撃。あれは実弾による射撃だった事はわかっている。ハーロックが言っていたように、実弾ならば、あの偏向シールドに対して有効な打撃を与える事が可能かもしれない。あの艦を分派してしまったのは、不用意な判断だったかもしれない。油断があったのかもしれない。
目前の戦闘に忙殺されつつも、彼女は唇を強く噛まずにはいられなかった。何とかせねばならない。だが、今の自分にはその手段が無い。プライド云々を言っている場合ではなかった。彼女は決意すると、通信機のパネルを操作した。
「此方はクイーン・エメラルダス。ヤマト、古代!応答してください。」

アルカディア号≠ニクイーン・エメラルダス号≠ヘ、かってない苦境に立たされていた。機械化帝国の新兵器と物量が、容赦なく彼等を締め上げる。ヤマト≠ヘ、救世主足り得るのだろうか。彼女は果して間に合うのか。戦況は二転三転し、混迷の度合いはさらに加速してゆくのだった。
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