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嵐の前

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「確かに、今までの機械化帝国の戦術ドクトリンから考えると、戦艦部隊には何時もエアカバーの空母が随伴していたんですが・・・。反応ありません。ヘビーメルダーを出航した時の戦闘でも、奴等は空母を隠して奇襲を狙っていました。狙撃戦艦と巡航型戦艦が戦隊を組むのも初めて見ます。基本戦術の見直しがあったのかもしれません。」
それを聞いたヤッタランは、少し考え込んだ後、彼にしては珍しく深刻そうな表情を作った。
「前のヘビーメルダーでの戦闘を指揮しとった奴なら、結構手強いで。あん時ヤマト≠ェ飛び込んでこんかったら、もっと長引いとったわ。」
螢とヤッタランの会話を聞きながら、ハーロックは思う。 そうか、とうとうあの男≠ェ出てきたか。やつが陣頭指揮を執っているのならば、確かに一筋縄では行くまい。・・・だが、俺は自らの戦い方を貫くまでだ。

ハーロックが強敵の出現を予感していると、不意に螢が叫んだ。喜びの感情が滲み出てくる、明るい声だ。
「キャプテン、ヤマト≠ェ!ヤマト≠ェ加速してこちらの戦列に加わって来ます。きっと加勢してくれるんだわ!」
「キャプテン、海賊島≠ゥらの信号を確認!ワープアウト10秒前!・・・5、4、3、2、1、きたで!」
ヤッタランの報告も重なる。
「よし!役者は揃ったな。ヤマト≠ニ連絡を取るぞ、ビデオパネルに繋げ!!」

機械化帝国の大艦隊との接触を間近にして、人類史上最強の宇宙戦艦達は遂に戦列を組んだ。恐るべき戦禍の嵐を目前に、宇宙は一時の静寂を湛えていた。


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作者: 戦舟
投稿日:2011年05月29日(日) 03時42分05秒
BYTE数:4 KB (2164字)

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