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共同戦線

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古代は一瞬、考え込んだ。未知の空間に、部下達を向かわせるのか?危険過ぎはしないか?しかし、彼は決断する。大丈夫だ、コスモタイガー隊ならやってくれる!
「了解しました。コスモタイガー隊は、敵空母部隊の索敵任務を行ないます。至急、データーを提供して下さい。」
古代の素早い決断に、ハーロックは破顔する。
「有り難う、古代。お礼にという訳ではないが、こちらの艦載機部隊を君らに委ねる。我らは、数の上では圧倒的に不利だ。航空戦力も然り。出来る限り、集中して運用した方が良いだろう。スペースウルフ隊の指揮官は、台場という。まだ若輩者だが、勇敢な男だ。宜しく頼む。宙域の資料と一緒に、スペースウルフのスペックシートも送る。」

古代は驚いていた。成り行きで共同戦線を張る事になったとはいえ、見ず知らずの俺達に、自分の部下を預けるというのか?そして、武器の性能まで公開するのか?何か思うところ有っての采配か、それとも、、自分達だけに利益があるような、アンフェアな行いはしない、という意思表示なのか。敵にしろ味方にしろ、こんな宇宙戦艦の指揮官は、初めてだ。
そんな古代を横目で見ながら、島が声をかける。
「なんだぁ古代、きょとんとした面して。鳩豆って奴か?まったく、あのハーロックって男は、お前以上に破天荒な人物だよな。流石は宇宙海賊、正規軍の軍人じゃあ有り得ないやり方だ。まあ、彼らを信頼して行動を共にする以外、今のヤマトには選択肢はないんだがな。」
それを聞いた古代は、横目で島を睨みつける。
「おい、島!それじゃあ俺が、無茶苦茶な男みたいじゃないか!?覚えてろよ、戦闘が終わったら・・・」
「わかった、わかったよ。悪かった!言葉の綾ってのだよ。そんなに怒るな。」
島は苦笑しながら思う。こいつ、こんな状況なのに全然固くなってる様子が無い。『戦闘が終わったら』って、もう勝った後の事を考えてやがる。・・・圧倒的に不利なこの戦闘でも、こいつの覇気みたいなモノが皆を鼓舞しているのがわかる。やっぱりヤマトを束ねているのは、古代だ。同期であり、ライバルの自負もある俺としては、悔しいような誇らしいような、複雑な気持ちだな。

アルカディア号ではハーロックが、艦載機格納庫の台場正を呼び出していた。
「台場、スペースウルフ隊の整備は済んでいるだろうな?予定通り、対艦攻撃装備で発進させろ。クイーンエメラルダス号とヤマトに合流するんだ。ヤマトは有力な艦載機隊を持っている。共同して敵の航空戦力に対抗するんだ。」
「でもキャプテン!アルカディア号はどうするんですか?一隻で敵の矢面に立つというんですか?それは危険過ぎます。いくらアルカディア号でも、スズメ蜂の大群に突進して、無事無傷って訳にはいきませんよ。」
艦内通話パネルに映る台場の表情は、ふて腐れた子供のようだ。ハーロックは苦笑する。
「あの大艦隊を昆虫扱いとは、お前も良い度胸だな、台場。だが、たまには素直に指示に従え。俺達は海賊島≠ニアルカディア号をドッキングさせて敵艦隊を中央突破する。海賊島≠フ火力と防御力を発揮させれば大丈夫だ。こっちが敵を引き付けている間に、敵の空母部隊を探し出せ。発進後は、ヤマトの指揮下に入るのだ、良いな!」
台場は、それでも不満げな表情を、隠そうとはしなかった。有紀螢は、そんな彼を微笑ましく思いながら、視線を送っていた。
台場君、お兄さんに楯突く弟って感じね。本当は、キャプテンや仲間達、そしてアルカディア号の事が心配でたまらない。だから、この艦から離れた場所では、戦いたくないのね。まったく素直じゃあないな、男の子ってのは。
台場にとっては、螢という女性が心配で離れたくない仲間達≠フ中でも、特に重要度が高い人物なのだ。という事を、イマイチ自覚してない彼女であった。


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