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共同戦線

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画面越しに、ハーロックの後ろにいる螢の目線に気付いた台場は、画面から視線を外すと、ぶっきらぼうに言った。
「わかりましたよ、キャプテン。でも、俺の帰って来る場所が無くなっちゃうってのはゴメンですよ!」
ハーロックはチラリと後ろを窺う。慌てて横を向く螢を確認すると、彼は、ヤレヤレ、といった風情で通話パネルに向き直った。
「台場よ。その言葉、誰に向かって言っている?まずは自分の方を心配しろ。ヤマトの艦載機はコスモタイガー≠ニ言うそうだ。いいか、虎どもに遅れを取るな!狼の如く勇敢に戦うのだ。お前ならばそれが出来る、行けっ!」
ハーロックに発破をかけられ、台場は鋭い表情を取り戻した。正面からハーロックの隻眼を見つめ、彼は答えた。
「了解しました、キャプテン!必ず戦果を上げて戻ります。そちらも御武運を!」

編隊を組んで、スペースウルフ隊はアルカディア号から離れて行く。それを見送ったハーロックは、フッと軽く息を吐くと、ヤッタランと螢に指示を伝える。
「副長、海賊島≠フメインゲートハッチを開け。アルカディア号は中央埠頭のガントリーロックで係留。螢、操縦系統、火器管制系統を本艦のコントロールシステムに接続、戦闘準備だ!」
岩隗の表面にカムフラージュされたゲートが開き、アルカディア号は海賊島%熾狽ヨと入って行く。外観から受ける印象とは打って変わって、内側は機能的な宇宙港となっていた。艦体固定用のガントリーロックが開き、着床したアルカディア号は、ガッチリと固定される。ヤッタラン副長が、自席のコントロールパネルを操作すると、小惑星の表面に無数のハッチが開かれる。そして内部から、ハッチの数だけの砲台がせり出して固定された。
「キャプテン、パルサーカノン砲台、bPからbX9まで作動開始。エネルギー伝達良好。照準システムも問題無しや、何時でも撃てるで!」
ヤッタランが満足げにハーロックを振り向く。続けて螢が、計器類の情報を拾い出しながら、報告をする。
「海賊島¥d力エンジン、アルカディア号の操縦系統との接続完了、システムオールグリーン。エネルギー減衰バリア展開、こちらも作動良好。」
キャプテン・ハーロックは、ブリッジ中央の舵輪を握り、ビデオパネルに映る大艦隊を見上げた。距離が詰まってきた為、詳細が確認出来るようになってきている。何時の間にか彼の傍らには、異性人の女性、ミーメ、そして親友トチローの愛鳥、トリさんが寄り添っていた。ハーロックの肩に手を置くミーメを見つめ、彼は黙って頷いた。そしてアルカディア号の仲間達に、戦いの始まりを告げるのだった。
「総員に告ぐ。これより機械化帝国の主力艦隊と、雌雄を決する戦闘を開始する!気を抜くな!勝って皆で祝杯をあげるのだ!!」

轟音を響かせて、海賊島≠ヘ突進を始めた。その後方を、クイーンエメラルダス号とヤマトが追従する。双方の艦隊は、急速に距離を縮めていった。次の瞬間、彼女らの存在する宇宙空間を、多数の光芒が走る。架空の視点から観察すれば、それは美しい流星雨にも見えただろう。だがその流星達は、近寄れば死を招く、ワルキューレの如き存在であった。大いなる戦いの火蓋は切って落とされた。


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作者: 戦舟
投稿日:2011年06月22日(水) 02時17分22秒
BYTE数:11 KB (5966字)

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