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奇襲攻撃
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ヤマトから急速に離れて行くクイーン・エメラルダス号を見送ると、古代は太田の方を振り返った。
「太田!加藤達の送ってきた座標は確認出来ているな?」
「はい。9時の方向、上下角マイナス15度、距離およそ300宇宙キロ。左舷側、約220宇宙キロ先に目視できる暗黒ガス雲の向こう側です。」
「わかった。島、小ワープ準備。暗黒ガス雲の手前まで一気にジャンプするぞ!アナライザー、タイガーズアイ01に着弾観測を命令しろ。」
それを聞いた真田は驚きの声を上げた。
「艦長代理!暗黒ガス雲を盾にして、敵の探知圏外から、主砲の超遠距離射撃で空母を仕留めようというのか?」
真田に視線を向けた古代は、凄みのある笑みを見せながら答える。その表情は、見る者に猫科の大型肉食獣を連想させた。
「真田さん、言ったじゃありませんか。新型波動カートリッジ弾は、100宇宙キロでも届くと。アウトレンジ砲撃で揉み潰してやりますよ。」
弟のように思っていた男の、獰猛な一面を垣間見た技師長は、心中で彼の親友に呼びかけた。
「守。君の弟は、繊細で優しい男だ。だが、やはり君と同じ血脈だよ。激しくも優秀な戦闘指揮官だ。」
暫くの後、ヤマトの艦体が虹色に輝いた。その姿が宇宙空間に吸い込まれるように消えてゆく。その様子を確認したクイーンエメラルダスは独言した。
「何て速いワープ・・・!あれが、波動エンジンの威力だと言うの。」
暗黒ガス雲の彼方に屯ろする空母群を撃破する為、ヤマトは征く。その主砲は鈍い煌きを放ちながら、見えない敵機動部隊に牙を剥こうとしていた。
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作者:
戦舟
投稿日:2011年09月25日(日) 04時12分03秒
BYTE数:10 KB (5374字)
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