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邂逅

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「敵攻撃機、増速シツツ接近シテキマス。距離20宇宙キロ!」
古代はビデオパネルに映される敵機を凝視しながら考えていた。我々は彼らの母星を根こそぎ葬り去った。彼らにとっては当然許し難い存在なのだ。休戦など考えていないという事か。しかし、このまま殺られる訳にはいかない。生きて地球に帰らねば。一瞬、ユキの美しい笑顔が脳裏を横切った。
「島、取舵70度。敵編隊を1,2番副砲塔の射界に入れろ。南部、1,2番副砲塔、打ち方始め。タイミングは任せる。アナライザー、コスモ三式弾の攻撃と同時にコスモタイガー隊突撃。敵攻撃機を殲滅する!」
ヤマトが左に進路を取ると同時に、流れるように副砲塔が旋回した。砲身が生き物のように、敵編隊に向けて鎌首をもたげる。
「距離15宇宙キロ。コスモ三式弾有効射程距離ニ入リマシタ!」
「1番2番副砲、発射!!」
主砲よりは幾分控えめな、しかし鮮やかな青い閃光が迸る。直径15.5cmの砲弾が6本の光の矢になって飛翔する。砲弾は敵機編隊の真中で炸裂、波動エネルギーの散弾となって彼らを蹂躙した。爆発し四散する機体、損傷を受け離脱して行く機体。惨憺たる有様だ。
「コチラびっぐわん。たいがーりーだー、突撃開始セヨ!」
「タイガーリーダー、了解ィ!コスモタイガー隊、全機突撃開始!」
コスモ三式弾の攻撃で混乱し、編隊の体を成していない敵部隊に、飢えた宇宙の虎が挑みかかった。敵攻撃機は、コスモタイガー隊に対し有効な反撃を行えないまま数を減らしていく。それでも数の多さに物を言わせ、ヤマトに接近してくる機体もあった。
「コスモタイガー隊ノ阻止線ヲ突破サレマシタ!対艦ミサイルニヨル攻撃ガ予想サレマス、機数ハ12機。南部サン!」
「了解!右舷パルスレーザー砲群、掃射開始!」
艦橋周辺に装備される対空火器が一斉に光のシャワーを吐き出した。敵機は次々とそれに絡め取られ、爆発していった。
「接近ヲ許シタ敵機ヲ全機撃墜!投弾ノ阻止ニ成功シマシタ。」
「どうやら、あの攻撃機部隊は防ぎきる事ができたみたいだな。」
幾分安心した様子で島が呟いた。しかし、古代は気を抜けずにいた。背筋を走るこの感覚。悪寒と呼ぶのが一番近いのだろうが、もっと切羽詰った感じも混ざった嫌な感覚は、まだ消えていない。奴らはまたやってくる。そう思えた。
「まだ安心できない、警戒を怠るな。太田、敵艦隊の動きは?」
「射程距離外に退避していると思われます。遠距離レーダーに反応なし。」
「敵機編隊ハ80%ヲ撃墜マタハ撃破。敵機ハ撤退ヲ開始シテイマス。追撃ヲ命ジマスカ?」
「いや、コスモタイガー隊を呼び戻せ。1小隊づつローテを組んで着艦、燃料補給だ。半分の機体には対艦攻撃装備をさせろ。」
戦闘配置を解かない古代に対し、真田は少し渋い表情で意見した。
「艦長代理、コスモタイガー隊は確かに圧勝した。損害は皆無と言っていい。ヤマトもそうだ。最初の被弾以外、大した傷はない。だが機械とは違い人間とは疲れるものだ。休ませる必要があるんじゃないのか?」
「真田さん、それは理解しているつもりです。ですが俺には、奴らが諦めてただ退散していくだけだとは思えない。それに・・・」
「それに、何だ? 古代、指揮官はお前だ。命令ならばもちろん従うさ。ただ、意見は最後まで聞かせてくれ。」
古代は黙って頷くと、太田の方を向いて訊ねた。
「太田、デザリアム艦隊と交戦していた所属不明艦はどうなっている?」
「はい。後方50宇宙キロ。等間隔を保ってヤマトを追尾してきます。艦数は2隻。見た事のない艦影です。データベースにも一致、もしくは類似する宇宙艦はありません。」
それを聞いた真田は、古代に問いかけた。
「つまり、敵の敵は味方、だとは限らないと。そう言いたい訳か?」
「少なくとも対話が成立しない限り、安心はできないと思います。」


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