主な登場人物:悪友とわし。クラスで一番のスケベ「歩く生殖器」とあだなされる利根君。彼はキャラクターの割に字が達筆なので、清書及び題字担当。特技は無いが、大金持ちのおぼっちゃん高橋。会計を担当。さらに、ブラスバンド部の山田君、少し大人の広岡君、 ブターシャが・・・いた。 |
教室へ帰る。二時限目。また、テストが始まった。わしは、答案に向かうが、悪友のことが気になって、仕方が無い。なにもかけない・・・。そのときだ・・・後の奴から、メモが回ってきたのは。メモには、「金が無い。かまきり公園で待つ!」とだけ書いてあった。
とりあえず、試験中に抜け出すわけにはいかなかった。試験が終わった後、休憩時間にメンバーを集めた。おそらく、コピー代がないのだ。一応、会費を前日に渡しておいたものの、足りなかったのだろう。かまきり公園、は、学校から駅ひとつ向こうの町にある公園である。まあ、電車に乗ることを前提に考えれば、30分の距離であろう。悪友に金を渡して帰ってきたとして、一時間かかる。次の科目の試験は当然、受験できないわけで、かえってきた瞬間、あの若い教師の逆鱗に触れて、体罰を受けるであろう。あと2時限分試験を受ければ、25分間の昼休みがあるが、それでも誤魔化せるのは片道分だけであった。
決死隊・・・である。全員が抜けると学校が大騒ぎになることくらいわかっていた。抜けるのはひとりでいい。わしは、自分がいくつもりだった。が、金が無い。毎月、1万円の小遣いをもらっている高橋に素直に言った。「すまんが、金を立て替えてくれ」・・・すると、高橋は言った。「お前は、編集長やから、最後に本をきちんと仕上げる仕事が残っとるやんか。わしが、いく」
「わしにもなんか、さしてくれ」
高橋は「全国からのお便り」を書くくらいしか役目を果たしていなかったのだ。
高橋は、普段おぼっちゃんで、先生に怒られた事がない。こいつには耐えられないのではないか、とわしは思った。だが、目と目を合わせたときの瞳の輝きを信じることにした。いや、信じねばならない、と思った。わしらは、背の低い高橋を取り囲んで、裏門の焼却場付近まで護衛した。「ありがとう、ここでええわ」と高橋はいった。わしらは、高橋に対して、心臓のあたりに手をかざす「ヤマト式敬礼」をした。あいつもそうした。そして、さっと、走り出した。ブタ―シャは明日の朝、クラスに別れを告げて転校する。あと・・・22時間だな、とわしは思った(つづく。書きはじめてから、つい長くなってしまう。明日こそ完結しよう)
BGM:Beautiful Lost:(C)98 Moto