悪友とわし。そして、クラスで一番のスケベ「歩く生殖器」とあだなされる利根君。彼はキャラクターの割に字が達筆なので、清書及び題字担当。特技は無いが、大金持ちのおぼっちゃん高橋。彼には、会計を担当させた。赤字も彼をおだてればすぐに解消できるという読みがあった。そして、どうでもいいやつが数名いて、ブターシャが・・・いた。彼女は、会誌の編集会議のときに「わたしはポエム担当!!」と「愛」を連呼したわしより恥ずかしいことを叫ぶのだった。
編集会議というのは、放課後、教室に残って行う。早くしたいから、今までずっとさぼってきた掃除も一生懸命にやる。へたすりゃ、ほかの当番の時まで、手伝う。まあ、なんというか、そう・・・純、だった。
会誌は昨日も触れたが、表紙・裏表紙含めて30ページである。なぜ、30かというと明確な理由は無いのだが、よそのFCが大体、その程度だったことと、あとは経済的な事情だ。とにかく、まずは、タイトルを決めようということになった。わしは、先行のFCがすでにかなりかっこいい名前をつけていたので、同種の名前では、つまらない、と思っていた。そこで、若干の冗談を交え、なおかつ渋いネーミングとして「不滅の第三艦橋」という名を提案した。なぜ、第三艦橋が不滅かは、これを読んでいるあなた方にはほとんど説明の必要もないだろう。悪友も、「なるほど」といい、他の者も、特に異論は無かった。ただ、ひとり、ブタ―シャだけは、「ヤマトのテーマである愛にこだわるべきやわ」と強硬に主張した。そして、彼女は「宇宙愛」という名を提案した。そして、彼女は、すでにそのタイトルを冠した表紙を描いたのよ、といいつつ、かばんの中から、ごそごそとよれよれになったノートの切れ端を取り出した。そこには、潤んだ目で見詰め合う古代と島の絵が・・・。悪友は、それをみて、眉間にシワを寄せた。そして、「長田あ、お前が編集長やねんから、お前が決めろや」と無茶なことを言い出した。「げ」とわしは思った。そして、瞬時に政治的な安全地帯に逃げ込んだ悪友に対して、半ば、憎悪に近い気持ちを抱いた。
ここでの判断は非常に難しい。一気に半減した会員数から考えて、たとえ、怪獣のような女でもつなぎとめておく必要がある。また、キャラクターの絵はそこそこ巧く、戦力にもなる。かといって、わしも悪友も目指すはハードボイルド男のロマン満杯雑誌であり、「宇宙愛」などというメロメロな少女漫画チックな世界はまっぴらごめんなのだ(今は少女漫画の面白さも理解できるが)。だが、このまま追い詰められたまま、引き下がるわしではない。わしは「あ、ションベンしたなったから、ちょっとでるわ。すすめといて」と、カウンターパンチを悪友に食らわせ、そそくさと教室を出るのだった。
わしは、トイレまでゆっくりと歩いた。ざま見ろ、とわしは思った。大体、会長が会の指揮をとらんでどうする!編集長は、会長の補助として、横にすわっておればええんや!!そして、トイレに入り、本当に小便をした。ただ、ここで気をつけねばならないのが、トイレの滞在時間である。あまり長く時間をかけると、大便をしていたと思われる。今の子は知らんが、1978年当時の中学生にとっては、学校で大便をすることすなわち、社会的地位の失墜であった。「あいつ学校でうんこしとったでえ」・・・冷静に考えれば、学校でうんこして何が悪いんだかよくわからないが、当時の中学校には「学校でうんこすること=恥」とする価値観が確かに存在していたのだ!!(力説するのも、おとなげ無いが。え、わしの中学だけ?んなバカな!!)
わしは、適当に時間を見計らって、トイレを出た。廊下に出る。顔をあげて歩き出した、そのとき・・・「おう」と聞き慣れた声が、わしの前で、聞こえた。あいつ、だった。そそくさと前から歩いてこっちにくる。「いやー、わしもションベンしたなってなあ」と、あいつは言った。そして、すれ違いざまに「すすめといて」といった。あいつは、トイレの中に消えていった。わしは、立ち尽くした。「げげ」とわしは思った。
このまま、教室に帰れば、わしが、ブタ―シャにキツイことをいわねばならない。彼女はあしたのジョーに出てくる鑑別所のブタさんのように荒れ狂うだろう!!そして、わしは・・・西はじめのように踏みにじられるだろう・・・。余談だが、彼女が小学校5年生のときに、中学1年生の男子を背負い投げで投げていじめていたという噂があった。どこまで、本当かはわからないが、半分くらいは充分に事実だろう。少なくとも、わしにとっては、そうだ。
わしは・・・もう一回ションベンにいくことにした(つづく)。
またもや、だいぶ、予告と違う内容で恐縮であるが、今日はこれまで。次回、会誌の内容のことで、もめまくる会員たち!統制のとれないメンバーたちは果たして、会誌を発行できるのか!!アニメFCの歴史がまた、1ページ・・・。「無限に広がるファンクラブ4」にご期待ください!! |
BGM:CROSSING:(C)98 Blue Noise Music