主な登場人物:悪友とわし。クラスで一番のスケベ「歩く生殖器」とあだなされる利根君。彼はキャラクターの割に字が達筆なので、清書及び題字担当。特技は無いが、大金持ちのおぼっちゃん高橋。会計を担当。そして、どうでもいいやつが数名いて、ブターシャが・・・いた。 |
結局、教室に戻った。あまり長いと「大便くん」呼ばわりされることを恐れたためである。で、それまでの間にしびれを切らしたブタ―シャが多数決を取り、なんと「不滅の第三艦橋」がタイトルとして決定されていたのだ。ブタ―シャは、意味ありげに微笑みながらいった。「あなたの勝ちね、長田君」「でも、中身は私も黙ってはいないわよ」・・・ブタ―シャのむやみやたらな挑戦的な態度にわしは、びびりながら「アルカイックスマイル」を返すのだった。
タイトルの次は、内容である。目次と編集後記はすんなり決まる。あとは、コーナーである。中学のガキにオリジナルな発想など無く、頭の中にあるのはひたすら「アニメ―ジュ」みたいな本をつくりたい、という願望・欲求のみである。利根君がつぶやく。「全国からのおたよりのコーナーがいるなあ」・・・「なるほど、おたよりね」わしは、なんの疑問もなく、ノートに「おたより」と書き込んだ。でも・・・会員数8名の超ローカルなこの研究会の会誌を全国で誰が読んでいる、というのだろう!わしらがつくって、わしらが読むだけやんか!ただ、わしも当時、それほど賢くなかったので、「はいはい」といいつつ、メモしたのである。後に、この全国からのお便り、を自分で書くことになろうとは・・・・!こういう経験がどんどん純な中学生をヒネタおやぢに変えていくのだ。
その他のコーナー。それは、当然のように「宇宙戦艦ヤマト3」の製作であった。続編を書くのである。当時、TVでは映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」のTV版「宇宙戦艦ヤマト2」が放映されていた。わしらとしては、あの最終回をみるまでは、ヤマトが生き残るとは全く思っていないので、パート3の前提は、「さらば宇宙戦艦ヤマト」のラストシーン以後の世界、である。つまり、古代進、森雪が死亡し、島大介が生き残る展開であった。皆、やろう、といってこれに賛成した。で、誰が、話をつくる?ということになった。悪友とわしは、工事現場で大量に発掘したエロ本をクラスで販売し、資金を調達、あの7,800円の「さらば宇宙戦艦ヤマト」の豪華本を入手していた。その本を読んで、一本の映画を作るのに、分担を決めて、シナリオやストーリーを何度も大勢でもんでつくるという知識があったので、それを応用したいという気分に満ちていたのである。まあ、「ごっこ」だった。
「わたしがやるわ!!」
ブタ―シャはそういうと、再びガサゴソとかばんの中を探し出した。そして、またもや、ボロボロのノートを取りだし、バンッと机の上に置いた。「もう、出来てるのよ!!あらすじは!!」・・・悪友は、わしに目配せした。そう・・・とりあえず、読め、のサインだ。わしは、ノートを手に取り、読み始めた。
「続・宇宙戦艦ヤマト・愛のジェットストリーム」 |
「なんちゅう・・・」とわしは、心のなかで思った。ジェットストリームっていわれても、なあ。城達矢やないんやから。で、本編だ。
時に西暦2201年。地球はヤマトの活躍により白色彗星帝国の魔の手を逃れ、平和な日々を取り戻していた。生き残った島大介は、地球防衛軍を辞し、とある高校のテニス部顧問となっていた。そこで、彼は、運命に引き寄せられるかのように、ひとりの美しい女性と出会う。彼女の名は林雨子。彼女は、森雪とうりふたつの容貌をもっていた!!島は、彼女に惹かれ、付き合い出すことに。そして、お付き合いも進んで、プロポーズをしようと島が決意したときのことである。その高校にひとりの男子教諭が着任する。彼の名は未来始(みらいはじめ)。これまた、かつての親友、古代進にそっくりな好男子であった。未来始は、林に接近し、ついには三角関係が成立してしまう。島は、かつての親友と初恋の人にそっくりな男女のペアを見て、「自分には入りこむ隙がない」と悩む。そんな彼を物陰からじっとみつめる体育教諭の相原義一(彼も軍を辞して、高校の卓球部の顧問となっていたのだ)。相原は同姓ながら島のことが以前から好きだったのだ。恋に悩む島を見て、相談に乗るふりをして、島に薬を飲ませて自分の寝室に運ぶ相原。ああ、島の操は奪われてしまうのか!!しかし、そのとき、ひとりの男が島をかかえてその場を立ち去る。それは、太田であった(太田は、軍を辞めてから、運送会社に勤めている)。目を覚まして、感謝の言葉を述べる島。しかし、太田もまた、島に惚れていたのだった。島に迫る太田!島は・・・(以下、延々とつづく) |
「うーむ」・・・わしは、唸った。それは、まるで「宇宙犯罪同盟・魔木妖一VSヤマト」のシノプシスを提示されたN氏のような苦虫をつぶした表情だったろう(わかるかな?)。だが、この唸りが彼女には肯定的に聞こえたらしく「ちょっと感動的すぎたかなあ」などと抜かすのである。わしは、一瞬、また、トイレに行きたい、と思うのだった。そして、うつむきながら、そのノートをとなりの悪友に回すのだった。
今日はこれまで。次回、「ヤマト3」の内容をめぐって、ブタ―シャVS亀吉の対決が!!アニメFCの歴史がまた、1ページ・・・。「無限に広がるファンクラブ5」にご期待ください!! |
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