主な登場人物悪友とわし。クラスで一番のスケベ「歩く生殖器」とあだなされる利根君。彼はキャラクターの割に字が達筆なので、清書及び題字担当。特技は無いが、大金持ちのおぼっちゃん高橋。会計を担当。さらに、ブラスバンド部の山田君少し大人の広岡君、そして、ブターシャが・・・いた。

 「じゃあ、俺のを」といって、またもやカバンの中をごそごそと探し始めた広岡君。彼は、他の皆より、若干大人びた印象である。髭が濃い。声もかすれている。そう・・・おっさんの声だ。「読んでくれ」と、わしに渡したのは、ボロボロになった1冊のノートであり、その中にぎっしりと字が書き込まれていた。「長いんとちゃうの?」とわしは思った。でも、かといって山田の「さようなら宇宙戦艦ヤマト」に空気を戻すわけにもいかず、わしは読み始めた。タイトルは、ノートの表紙に書いてあった。

宇宙戦艦ヤマト第二章・新たな時代への目覚め

 「おお」とわしは思った。まともではないか!わしは、意気揚揚と朗読を始める。

 時に西暦2201年。白色彗星の脅威を免れた地球は、再建の途についていた。しかし、そんな地球を含む銀河系宇宙では、白色彗星帝国の侵略の結果、深刻な資源不足、食料不足が生じていた。

 「おお」・・・よく出来た背景設定だ。冷静に考えれば、侵略で死者が大勢出れば、食料不足は起きないと思うのだが、その頃はそんなことに気づくはずもない。

 資源と食料を目的とした帝国主義が銀河系内に充満し、さまざまな星々が他の星を侵略するという風潮が生まれたいった。

 なるほど。わしは読み進める。

 そうした風潮に対し、先の大戦で生き残った島は非常に残念な思いをしていた。彼は、古代から託された平和への思いをこの宇宙に広げねば、と思った。

 すごいぞ、広岡!自然な展開だし、納得できるぞ!!

 島は、生き残ったヤマト乗組員18名を集めて、政治結社「ヤマト宇宙愛連盟」を設立した。この政治結社は、諸星間国家の帝国主義を打倒し、各星間国家の労働者階級が連盟することにより、「宇宙の愛」に満ちた平和な世界を実現しようとするものである。島は、ヤマトの乗組員とともに、宇宙船「ヤマト宇宙愛連盟号」を駆り、銀河系宇宙の行脚を始めた。人は、それを「聖なる行軍」と呼んだ。そして、星々の労働者階級を糾合し、「銀河プロレタリアート連盟」を発足させるのだった。それは、銀河系内のプロレタリアートを結集し、労働者による武力革命を目指すものである。ただ、その段階では、腹心の同士であった、太田が実権を掌握していて、徹底平和革命論の島は疎外されていたのだった。だが、太田の急進的な手法に反発した相原により、島は政治的監禁から開放される。太田は、責任をとって失脚し、地球の労働者支部に帰るのだった。島は、「銀河プロレタリアート連盟」の本拠地を惑星テレザートに定め、そこで、荒れ果てた大地の開墾などを行うようになる。それは、労働者の労働者による自己統治の世界であり、まさしく社会主義の実現であった。

 う・・・。

 一方、銀河系内のブルジュワ階級も結束をし、「銀河プロレタリアート連盟」を武力で制圧しようとする。惑星テレザートに迫り来る資本主義艦隊!!

 資本主義が艦隊組むかよ・・・。と、いうより「資本主義」ってなに?と思うわし。

 苦悩する島。彼は、平和を一心に祈った。そのときである。空に一筋の雷鳴がとどろき、十字架が現れた!!島は叫んだ。「おお、神よ!!」

 わしは、朗読の声も小さくなっていくのであった。結局、「資本主義艦隊」は、島の祈りによって現れた「神」の手によって、壊滅し、銀河系に社会主義体制が成立する、という話であった。ノートにはさらにその続きとして、社会主義体制の内紛、独裁者の出現、他の銀河系の帝国主義との戦い、などが延々と描かれていた・・・。もちろん、わしはそれらを読まなかった。朗読は15分くらいだった。読み終えたとき・・・やはり皆、寝ていた。お約束だが、当の広岡ですら、気持ちよさそうに寝ていた。「終わったで」とわしはいった。悪友が目を覚ます。ブタ―シャが「ここはどこ」とイヤミ。そこまでいわんでええのに、と心の中で思うわし・・・。そして、悪友は、つぶやいた。「つぎいこか」

 ほかに、何がいえる?(まだまだ、つづく)

BGM:CROSSING:(C)98 Blue Noise Music


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