わしは、ウインダムから、マイクを奪い取ると、狂ったように熱唱した。そして、たてつづけに、「東京ラプソディ」「浪花恋しぐれ」「JODAN」、最後に「少女A」を連続リクエストし、踊りまくった・・・。
そして、踊りまくる中で、わしのズボンは、すいすいと乾燥していく!!
ああ、人生でたとこ勝負。
くどいが、わしは・・・カラオケが嫌いだ。こんな自分がもっと嫌いだ。
ふぐみが、「やっぱり課長は、ヤマトがおすきなんですか」と聞いてくる。
わしは、「ヤマトの歌は、僕の世代では、皆が知ってるのだよ」とごまかす。わしの酔いも醒めたらしい。なんて、冷静な答えなんや・・・。納得するふぐみ。「有名ですもんねー」。最初からそういうとけばよかったやん=汗。
わしらは、その後、数曲ずつ唄って、いよいよお勘定となった。
かなり、唄い、かなり呑んでいる。そうかね部長には悪いが、かなりの額になっているはずである。
部長は、わしの肩につかまりつつ、自分の財布をポンとカウンターの上に投げ出す。
「好きなだけとっときなさい」
部長がいう。
「さすが」とわしは素直に思った。
ユキが、「なにいうてはりますのん。遊んだ分だけいただきます」と財布を覗き込む。
覗き込んだユキは、ゆっくりと顔を上げ・・・微笑した。