61.ガニメデ基地内作戦室前通路

かなり広い通路である。

士官たちの往来がある。

沖田と山南もその中に居る。

以下、歩きながら・・・

沖田「すまんな、退役寸前に」

山南「(笑って)いえ。」

沖田「軍隊というのは訳も分からず頭数を出せということがある。病気だな」

山南、苦笑する。

沖田「堅苦しい会議だ。徳川も村田もこういうのは、なんだかんだで避ける。つまらんところで共通点がある」

山南「光栄です。本来なら僕なんかが出られる会議じゃないんでしょ」

沖田「君は第3副長だ。艦長の補佐をするという任務を第2副長から委任されたんだ。だから、今、ここにいる・・・ということにしてある」

山南「(苦笑して)そうでしたね。でも、なんだか、場違いな気がします」

沖田、苦笑する。

山南「(改まった感じで)艦長」

沖田「(軽く)ん?」

山南「本当にありがとうございました」

沖田「え?」

山南「人の手が無いときに勝手なことを申し上げて」

沖田「(笑って)だから、それは俺の善意じゃなくて制度だよ。君は自分の意思で退役する権利を持ってる。」

山南「(真顔で)しかし、直属の上司の決裁が無ければ、退役も出来ないはずです」

沖田「(驚いた表情で)え!俺の決裁が要るのか!!」

山南「(焦って)ま、まさか艦長!」

沖田「(舌を出して)ウソだよ。ちゃんとしたよ。」

山南、ちょっと立ち直ってない感じ。

やがて、沖田と山南の向かい側から、藤堂基地司令官とルビー如月大尉が歩いてくる。

立ち止まる山南。つられて止まる沖田。

気付くルビー。

軽く手を挙げて、山南に投げキッス。

ぎこちなく手を挙げる山南。

藤堂と如月は、入り口に近いので、先に部屋に入っていく。

沖田、にやにやして山南をこづく。