第349話「粉ミルク」 |
とんとん・・・「おい、古代!いるか?古代守!!」 地球防衛軍の家族寮前で、今日もひとりの剃り込み男が叫んでいた。 妻に先立たれた古代守は、愛娘サーシャを連れ、とりあえずここで やっかいになっていた。 「真田の奴め、俺がエッチなビデオを見てるときにノックしやがって」と、 古代は苦々しく思いつつ、衣服を整え、「どうぞ」といった。 実は、亡き沖田十三から回りまわって譲りうけた松本キャラをモチーフにしたコスプレエッチのAVに浸っていたのである。カンダ○のセーラさん編はどこに回っているのやら・・・なかなか手に入らない。 もしや、この真田のところで止まっているのだろうか? ホモだという噂もあるが、両刀使いということも考えられる。 いずれにせよ、ちょっと恥ずかしくて聞けない。 それにしても俺も、昔は体育会系好青年を気取っていて、女に困った事などなかったのに、異星人の女王とおかしな事になったばっかりに、こんなひもじい性生活を強いられるハメに・・・。せめてコブ付きの身でさえなかったら昔のように、ブイブイ言わせられるのにぃ!と心の中で愚痴った。 真田技師長は、相変わらずハイテンションで部屋に入り込んできた。 「古代、入るぞ!」無用にきびきびしている。また、変なくすりを発明してハイになっているのだろう。 「どうしたんだ、真田・・・」 古代は聞く。すると、真田は目をらんらんと輝かせていうのだった。 「古代、聞く所によると、赤ん坊の授乳に困っているらしいじゃないか。母親は自爆して死んでしまうし、母乳で育ってたんだろう?せめて離乳食くらいは食べさせてやってるのか?」 「いや・・・残念ながら、テテ親の俺では乳は一滴もでないし、離乳食に煮込みうどん関西風を作ってやってもイスカンダル人とのハーフには合わんらしい。」 「そこで、『こんなこともあろうかと』一刻も早くこの状況を打開すべく、開発したのが、こいつだ!」 真田は23世紀なのに、青焼きの丸めた図面をテーブルに広げるのだった。 ぷーんと青焼きの匂いがした。古代は、この匂いをかぐのはゆきかぜでの出陣前以来、何度目だろう、と述壊した。そして、「これは?」と聞いた。 真田は、ドアの奥から、ベルトコンベアーみたいな機械を室内に持ち込んできた。 目を閉じながら自信ありげに答える。 「全自動フォローアップミルク供給装置、だ。イスカンダル滞在時に採掘しておいた惑星の不要元素を再構築して、粉ミルクをつくり、それをサーシャに与える。全自動で、ミルクの調合までやってくれるため、お前も手間が省けるというわけだ。」 「ほう」 古代は、ちらと機械を一瞥する。 真田は「では、試してみよう。」 前衛的な形をした哺乳ビンを機械にインプットし、スィッチを入れた。 すると、人肌に温まったミルクが瞬時に出来上がった。 古代はそれを急いで、泣き喚くサーシャに与える。 すると、サーシャは機嫌良くミルクを飲み干した。 古代と真田は、サーシャが喜ぶのでミルクをやりすぎた・・・。 やがて、古代はつぶやいた。 「とめてくれ、真田・・・」 真田は「バブバブ・・・」と赤ちゃんになりきったままスィッチを切った。 古代「おい、サーシャがみるみるうちにでかくなって3歳くらいに見えるぞ!!」 真田は「はっ!!俺としたことが!!元素の調合を間違えてしまったのか!どうしてもっと早く気付かなかったんだ!!」と、相変わらずハイテンションで頭を抱えて叫びながら、古代守の部屋を去っていくのだった。 取り残された「全自動フォローアップミルク供給装置」を古代はじっとみつめた。 そして、再びスィッチを入れた。 「これを与え続けていけば、1年で17歳くらいになるだろう・・・。面倒がなくって いいや・・・。俺も新しいオンナを作ることも出来る・・・」 古代は、親友に感謝感激の念を抱いた。 (おわり) |
RIKO
2001年07月20日(金) 20時19分29秒 公開 ■この作品の著作権はRIKOさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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大笑いさせてもらいました。守兄さんの描写がナイス!真田さんも「科学の鬼」らしくて、イイ感じです。 | じゅう | ■2001年09月17日(月) 16時39分06秒 |
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