170分の長尺だが、最後までだれずに楽しめた。激しい戦闘シーン、幕間に流れるエーゲ海の美しい景色、そして確かな脚本と演技で構築される人間ドラマのバランスが良いがゆえである。人間と人間がぶつかり合いながら命のやり取りをしていた時代。トロイ、ギリシャ、それぞれの人間にスポットを当て人物に感情移入が出来ている分、例えばアキレスとヘクトルの決闘などいつの間にか固唾を呑んで見守ってしまう。ブラッド・ピットのアキレスは時代劇の中に現代劇の人が入ってきたような違和感が最初あったが、こういうアキレスもありだろう。また、今まで想像するしかなかったトロイの木馬を初めて映像で見られて感動した。これを機にモチーフとなった「イリアス」を久しぶりに読んでみたいと思った。良作である。