実は最初は馬鹿にしていた。昔の、子供向けの特撮映画だと思っていた。
しかし、いざ見てみると印象はぜんぜん違う。
確かに、古い部分はあるが、それは特撮ではなくて、戦後から高度成長時代へと移行しつつあった製作当時の日本の状況であったりする(もちろん、映画は当時の未来…1965年の物語であるが、その未来である1965年の描き方を通して1959年の「時代」が読み取れる)。
特撮は、今見ても十分に鑑賞に堪え得る。現在の特撮技術と比べて云々は、絵の迫力を感じ取ることができればどうでもいいことである。
科学設定も思ったよりしっかりしており、戦闘シーンも見応えおおあり。一分たりとも手を抜いていない91分。そう、たった91分の映画だがとても中身が濃い(難しいことを主張しているわけではなく、エンターテイメントとして充実している)。最近の映画(特に洋画)のように終わってからエンドロールが20分ということはない。「終」マークであっさり終わる。
伊福部昭さんの音楽も絶好調!
ヤマトファンなら「を!」と思うシーンも多い。
軍楽隊と家族に見送られるクルーたちのパレード。
第一艦橋にすごく良く似たレイアウトの地球軍迎撃ロケットのブリッジ。
激戦で仲間を失い戦地をあとにするクルーは「きっと帰ってくるぞ」とつぶやく。
後の「トップをねらえ!」にオマージュされたシーンもあるようだ。
おそらくヤマトの製作陣もこれを見ていたんじゃないか、と思う。
真似したとかそういうことじゃなくて、遺伝子のように「よいもの」が受け継がれてるような気がする。
宇宙人が侵略してきて地球が防衛という図式は、この映画に限らず多い。私の脳裏にぱっと出てくるのは、「謎の円盤UFO」というテレビシリーズだが、これは英国製でまさにバトルオブブリテン、迎撃戦の醍醐味を見せてくれる。ずっと後年になるがアメリカの「ID4」とかと比べてみると日英米の国民性が、そして時代が見えてくる。
大人になってから見る甲斐があるというものである。