BARDECKでの自分のコメントをこちらに転載しておきます。
皆さんご存知の通り、公開前は結構否定的な目で見ていたこの作品…今日観て来ました。大ヒット上映中という噂ですが、三宮はそう混んでなかったです。月曜日の夕方ということもあるでしょうが…。
正直に云いましょう。この映画は良作です。しかも日本人にしかつくれない映画だと思います。ロンゲストデイもUボートもそれぞれ戦争映画として傑作でありますが、アメリカともドイツとも違う日本の視点での映画、しかも過度に英雄的に描かず、個々の人の気持ちを丹念に描いた作品は数少ない。間違いなくその一つに数えるべき作品だと思いました。
もちろん、オーソドックスな演劇手法にのっとった泣かせるシーンもあります。それはそれでいい。私がこの映画で最も感心したのは大和が全く活躍しないからです。いや、もちろん画面にはCGやモデルで描かれた大和が出てくるんですが、ちっとも英雄的に敵機をどんどん落とすとかそういうシーンが無い。とにかく大和が破壊されるシーン、兵士たちが死ぬシーンが連続します。兵士たちの死ぬシーンもピアノのソロで泣かせるセリフをはきながらなんて一切無い。これは映画監督として脚本家として自分の手を縛りながら心で絵を描くような作業ではないか、と思います。それは伝わりましたね。
また、この映画の特徴の一つはアメリカの視点が一切無いことですが、それが逆に家族を守るために戦った兵士たちの気持ちを表現するのに寄与していると思いました。
演技陣も熱演ですし、音楽は久石譲。金払って2時間と少し映画館にいるだけの値打ちは充分にある映画です。
DVDで見ると多分、音響や大和の大きさを実感できないと思うので映画公開中の鑑賞をお勧めしておきます。
でも、同じ映画に対する印象でも僕の職場の人で50歳くらいの人が居るんですが、彼に言わせれば長渕の主題歌が合ってないから行かないとかいうことらしく、僕とは意見が合いませんでした^^;僕は長淵が特に好きでも嫌いでもないので主題歌も普通に聞いて帰ったのですが、駄目な人って居るんですね。その人はちなみに木村拓哉のハウルも拒絶していてDVDをわざわざ英語版で鑑賞したそうです(苦笑)。そこまで好き嫌いがあるとある意味見事だなと思ったりしますが(笑)。
追補:原作との対比
映画は原作の途中山本長官の死のあたりから始まってます。つまり、山本長官が当時旗艦だった大和で暮らしている時期の描写がないのです。中村演じる内田の「山本長官の形見」のエピソードが少し迫力無かったかなと思います。
また、現実の軍隊が抱えていたもっとリアルな部分というのは原作には描写がありますが、映画では割愛されています。これはこれでいいんじゃないか、と思います。映画で描こうとするものを浮かび上がらせるためにこのくらいのリアルさでいいと思ってます。