この作品はほぼヤマトの劇場版がかかっていた時と同時期に製作されていた映画です。
東映動画の総力結集のアニメ作品で、ヤマトのスタッフも監督の桝田、勝間田氏はじめ、美術 辻忠直氏など結構参加しています。
テイストは、ヤマトの後期、或いは宇宙空母ブルーノアに近いです。
特に音楽が素晴らしく、川島和子が参加しています。全般の劇判は横山青二氏。
たまたま、東映チャンネルで放映していたのを録画して鑑賞しました。
原子力潜水艦、戦闘機、人工衛星その他のメカニックの描写は微細に渡っており、十分に楽しめました。
まだ人の手がアニメを描いていた時代の素晴らしさは残っています。
美術もヤマトを彷彿とさせるシーンが多く、ファン的には良かったです。
ただ、いかんせん、リアルなシミュレーション映画を目指しつつも、媒体というか手法がアニメなので、良くも悪くも現実感には乏しく、ドラマとしての切迫感に欠けました。
また、キャラクターデザインも、妙にリアルでそれが逆に、アニメの世界なのに溶け込んでない感じがして、違和感がありました。
例えば、サザエさんは、あのキャラデザインがあって、逆にその世界でのリアルさを伝えていますが、この198Xは、どうもそこら辺が違うなあと。
国際関係や政治的なことへの言及のあるセリフも何だか背のびしている様な印象に聞こえました。分かってないけど分かったようなセリフ回し。如何にもステロタイプなシナリオ…。
観ているうちに、「この映画は一体何が目的でつくられた映画なんだ?」と不思議になってきます。
反戦映画としては、メッセージに骨が無く、エンターテイメントとしては冗長で退屈。
ヤマトを観た後に、地球上の国家間の戦争をみせられても、スケールダウンした感じしかしないのです。
サントラは出てたら、聴いてみたいです。川島和子氏のスキャットは素晴らしかったので。