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マイマイ新子と千年の魔法 トピック削除
投稿日 2009/12/05 (土) 08:59 投稿者 やや矢野屋

ゆったりとした自然に囲まれた山口県防府市・国衙。
平安の昔、この地は「周防の国」と呼ばれ、国衙遺跡や当時の地名をいまもとどめている。
この物語の主人公は、この町の旧家に住み、毎日を明るく楽しく過ごす小学3年生の少女・新子だ。
おでこにマイマイ(つむじ)を持つ彼女は、おじいちゃんから聞かされた千年前のこの町の姿や、そこに生きた人々の様子に、いつも想いを馳せている。
彼女は“想う力(ちから)”を存分に羽ばたかせ、さまざまな空想に胸をふくらます女の子であり、だからこそ平安時代の小さなお姫様のやんちゃな生活までも、まるで目の前の光景のようにいきいきと思い起こすことができるのだ。
そんなある日、東京から転校生・貴伊子がやってきた。
都会とは大きく異なる田舎の生活になかなかなじめない貴伊子だが、好奇心旺盛な新子は興味を抱き、お互いの家を行き来するうち、いつしかふたりは仲良くなっていく――――
(公式サイトより抜粋)

芥川賞作家・樹のぶ子の自伝的小説「マイマイ新子」を原作に、監督・片渕須直が「清少納言の少女時代」という新たな着想を加味して描き上げた、時代を往還する少女達の交流の物語。

http://www.mai-mai.jp/
 

 

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教えていただいた皆様に感謝! 削除
投稿日 2011/06/06 (月) 21:16 投稿者 長田亀吉

WOWWOWで放映していたものを録画して鑑賞しました。
最初は声優さんの演技をたどたどしく感じて、入り込みにくいかなと思いましたが、転校生の女の子の頑なな気持ちがシンコとの触れ合いによって徐々にやわらかくなっていく過程の描写に引き込まれていきました。
熟練した演技とはまた違う素朴な味わいを感じるようになりました。この映画にはこのトーンなのだなと納得。
シンコの妹、やんちゃな男の子の友達、そして、それぞれとの友情がはぐくまれていく過程も子どもの目線を決して忘れることなく、細かな描写の積み重ねで見せていきます。
家族がいて、友達がいて。
子どもをしっかりと見守るおじいちゃん、お母さんの存在があり。
自然の美しさ、その中で生きる人の営み。
それは、人間が決して完全な生き物ではない、強さも弱さも兼ね備えた存在であることも描きながら…。
どうしようもない絶望、落胆を経験しつつも、それでも「明日の笑顔」を求めて走る。
子どもにも、そして、大人の我々にも確かなメッセージを静かに伝えてくれる映画だと思います。

音楽も素晴らしい。

この映画を教えていただいた皆様に感謝いたします。

 
 
心地よく現実を揺さぶる空想の魔法 削除
投稿日 2009/12/05 (土) 09:59 投稿者 やや矢野屋

練り込まれ緻密に構成された物語空間と画面の中を、伸びやかな手足の子供達が駆けていく。
喜びも悲しみも人の世の不条理さえも、彼らはそれぞれに受け止めてまっすぐに歩いていく。
彼らの声の中に、いつしか観客は劇中のふたつの時間と自分自身の現在・過去、幾層もの時空間を行き来する。

KOBEクルーの皆さんは、作中で描かれる昭和30年代から約15〜20年ほど経過した頃に子供時代を過ごされた方が多いのではないだろうか。
ラジオよりもテレビの方が身近な娯楽となり、冷蔵庫は既に電化製品。
友達の家に遊びに行くにしても、徒歩で駆け回るより自転車で移動することが多かったかもしれない。
だが、子供同士の人間関係や、周囲の大人との関わりは、この映画の時代とそんなに変わりはなかったのではないかと思う。
小川を堰き止めてダムを造ったり、洞窟を探検したり、お菓子のオマケを集めたり……新子達に通じる原体験をお持ちの方も、きっと多いのではないでだろうか。
また、同世代・同性の友達を求めながらも得られずに一人遊びに興じる諾子(清少納言の少女期)の切なさにも、覚えがあるかもしれない。

埋め立て地を前にした新子が「昔はここから海だったんだ」と千年前の風景を想像する場面があるが、現代の観客である私達からすれば、新子達が駆け回る麦畑や桑畑といった光景が既に過去のものである。
新子と貴伊子が千年の時を超えていにしえの波打ち際を見はるかす時、私たち観客は失われた麦畑や小川へと歩を進めていく。
新子達の「今」は観客にとっての「過去」であり、一方で新子と平安時代の諾子を結びつける「子供時代」という共通項は、観客である私達をも「ふたつの過去」に重ね合わせる。
つまり、観客自身の体験と視点が動き出す仕掛けが、映画の中に既に組み込まれているのだ。

あとは、映画の魔法に身を委ねるだけである。
驚くほど豊饒で濃密な世界が、そこに広がっている。

この作品は、是非とも映画館で公開中にご覧になっていただきたい。
常に光源の種類と位置がわかるほどに繊細な「明るさと暗さ」の表現は、映画館の暗闇と大きなスクリーンでこそ味わえる。
朝夕だけでなく、午前と午後でも色を変える屋内外の景色。
明かりが消えた瞬間に天と地の光量が逆転する夏の夜。
時間や季節の変化を伝える光線の描写がとにかく素晴らしい。

 
 
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