「いやいや、藪君。君のあのロボットは実に素晴らしいよ!」
卒業制作の発表を終えて数日後、薮は校長室に呼び出された。校長室には、かつて画家志望だと言って藪の腹に落書きをした眉毛の無い男が立っていた。
「体形が製作者に似ているのがご愛敬だがね。はっはっは!!いやね、こちらの軍の技術の方から話があって、あのロボットを是非、地球防衛軍の医局にもらいたいという事なんだ。中央病院で、病気や怪我をした人達を助け、励ますという大事な仕事だ。どうかね?」
藪は誇らしい気持ちで胸が一杯になった。
「お、お役に立てるなら・・・。」
「いいか?!いやー、有り難う、有り難う。我々は君のような優秀な生徒を持てて自慢に思っているよ。で、ついては、あのロボットも軍の一員になるワケだ。一切の個人的なデータを消去した上で、引き渡してくれたまえ。いいね。」
「え・・?」