しかたない、また、出すか。わしは、覚悟を決めて、金額を尋ねた。

 「そんなん全部、書いてあるがな!!」

 ユキは、紙切れをわしにつきつける。

 わしは、それを手にとってみつめる。

 そこには、信じられないい金額が書かれていた。30万円だ。

 当然、わしは、抗議する。

 「ちょっと、ちょっと、ねえさん(こういう時は、こういうもんです)、これはちとあれやで」

 わしらは、まずい水割りとピーナッツをおしんこ(泣)を頼んだだけである。カラオケはかなり唄ったが、30万円もかかるほど唄うわけが無い。1時間くらいしかいないのだから。銀座の高級バーじゃあるまいし。

 そして、ユキは、わしらににらみを効かせつつ、携帯を取りだし、ピポパと電話を始める。

 「ああ、警察ですか。この人ら、お金はろてくれまへんねん。来ておくれやす」

 け、警察!?

 まあ、いい。その方が好都合だ、

 「呼ぶならよべや。どっちが正しいか、きっちり話したるわ」

 わしは、自信をもって、ユキにいった。