89.北京艦橋(つづき)
永倉、血相を変えて立ち上がり、土方を振り返る。
永倉「(それでも、激発しそうになる感情を押し殺して)後方に配置すれば、我々は退路を断たれ、生還を期し難くなります」
土方、無言。
じっと永倉を見据える。
永倉「(顔は怒っているが、努めて冷静な口調で)乗組員の生命が明確に犠牲にされる作戦と判断します。納得できません」
にらみ合う土方と永倉。
廻りの士官たち、呆然と二人を見ている。
永倉「(土方を睨んだまま、通信士へ)第一副長を呼び出してくれ。よろしいですね、艦長」
土方、馬鹿にしたような表情で、永倉を見る。