149.病院内中庭

ベンチに腰掛け、孤独な休息をとっている沖田。

照りつける夏の日差し。

目を細める。

その時、ふと女性の声がする。

「オキタさん」

振り返る沖田。

リッパ−がそこに立っている。

リッパ−「(微笑して)宇宙戦艦の艦長は孤独よね」

沖田「(苦笑して)自分は・・・いや、わたしは巡洋艦しか指揮したことはありません」

リッパ−「それは失礼、艦長」

沖田「(微笑して)『艦長』は辞めました」

リッパ−「云いきれるの?」

沖田「(うなづく)もう、辞めたんです」

リッパ−「そう・・・」

沖田「なにか、わたしに?」

リッパ−「(わざとらしく)あ、そうでした。避難者用臨時住宅に当選したってフウさんから連絡がありました。書類手続をしに学校まで行くようにって。仕事はいいからいってらっしゃい」

沖田「(立ち上がって頭を下げて)ありがとうございます。すぐに行きます」

リッパ−、身振りで、いいのよいいのよ、というニュアンス。

沖田、リッパ−に一礼してその場を去ろうと歩き出す。

見送るリッパ−。

リッパ−、じっと沖田の背中を見つめて

リッパ−「(大きな声で)艦長!」

沖田、立ち止まる。

リッパ−「(笑って)ほら、あなたは艦長じゃないの」

沖田、背中を見せたまま、振り返らずに再び歩き出す。

リッパ−、微笑して見送る。